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総説
低温生物学(Cryobiology)
著者: 根井外喜男1
所属機関: 1北大低温科学研究所
ページ範囲:P.500 - P.504
文献購入ページに移動 低温生物学(Cryobiology)という新しい学問分野がある.新しいといっても,最近になって急に生まれてきたものではない.関連の問題は昔からあって,それを研究する研究者の数も少なくはなかったのだが,動物学とか植物学とかいった領域にそれぞれ埋もれていて,あまり目だたなかった.それが比較的最近になって—ここ10年か20年のことだが—かなり研究者人口がふえ,ひとつの学問分野として体系づけられるようになったのである.
その研究の対象として取り上げられるのは,動物,植物を問わず,すべての生きものそれ自体,あるいはそれから取り出されたものであるから,学問の範囲としては,いわゆる狭い意味の生物学といわれる動物学,植物学にとどまらず,医学,薬学をはじめとして,農,水,畜産から化学工学の分野にまたがるところの広範な境界領域なのである.従来の縦割りの学問分野に対して,横につないだ領域ともいうべきものである.自然科学はこうして一方には細分化を他方には総合化をくり返しながら,発展を続けているのである.
その研究の対象として取り上げられるのは,動物,植物を問わず,すべての生きものそれ自体,あるいはそれから取り出されたものであるから,学問の範囲としては,いわゆる狭い意味の生物学といわれる動物学,植物学にとどまらず,医学,薬学をはじめとして,農,水,畜産から化学工学の分野にまたがるところの広範な境界領域なのである.従来の縦割りの学問分野に対して,横につないだ領域ともいうべきものである.自然科学はこうして一方には細分化を他方には総合化をくり返しながら,発展を続けているのである.
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