icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査17巻5号

1973年05月発行

文献概要

異常値の出た時・5

ビリルビンの高い時,低い時

著者: 川出真坂1

所属機関: 1北里バイオケミカルラボラトリズ

ページ範囲:P.513 - P.517

文献購入ページに移動
 ビリルビンはヘモグロビンの代謝終末産物で肝から胆汁中に排泄される.健康人の血清は炎黄色を示すが,これは大部分ビリルビンによるものである.ビリルビンの高い時,すなわち高ビリルビン血症があると,皮膚,粘膜の黄染が肉眼で認められるようになる.この状態が黄疸である.最近ビリルビンの代謝機構がかなり詳しくわかるとともに,より合理的な黄疸の分類が報告され,特殊な体質性黄疸の発生機構も明らかにされてきた.しかし黄疸の鑑別診断は単なる理論的興味だけでなく,実際の診療上患者の生命にもかかわるきわめて重要な問題である.
 ビリルビンの低い時は血清の黄色調が少なく水っぼくみえる.タンパク,脂質なども低下している.これは栄養不良や悪性腫瘍,慢性炎症の末期にみられ,死期の近い場合が多く診断的意味は少ない.ゆえにここではビリルビンの高い時,すなわち黄疸の鑑別につき述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?