技術解説
大量新鮮血小板搬出法—Plateletpheresis
著者:
西村昻三1
二宮恒夫1
小山郁代2
所属機関:
1聖路加国際病院小児科
2聖路加国際病院血小板輸血室
ページ範囲:P.829 - P.837
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白血病や再生不良性貧血などの患児における血小板減少由来の大出血の対策としては,大量の新鮮血小板輸血にしくものはない1-4).しかしながらどのようにして新鮮な血小板を大量に確保するかは,なかなかむずかしい問題であった.従来からわが国で行なわれてきたように銀行血から分離する方法では,1人の供血者が提供しうる血小板量はきわめて少ない.すなわち,1回量についても少ないのみならず,全血採血のため長期にわたり提供しうる量もつよい制限を受ける.大量の新鮮血小板の確保には,1人の供血者からより大量の血小板を採取する方法を確立することが必要で,そのためには,分画採血すなわち,血小板のみを分離採血することが望ましい.これを,最も安全に,簡単にかつ経済的に行なう方法が,ここ数年来米国の小児がん治療施設を中心に行なわれているPlateletpheresis法(血小板搬出法)ないしはPlasmapheresis法(血漿搬出法)である5,6).
筆者は財団法人‘がんのこどもを守る会’より本法をわが国の小児がん患児のために実用化するよう研究の委託を受け,フェレーシス用バッグを自ら考案,メーカーに試作させ,改良に改良を重ねて,実用に耐えるバッグシステムの開発に成功したので,本稿では今後わが国でも普及するものと思われる本法の技術面の解説を行なうことにする.