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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻12号

1974年11月発行

文献概要

日常検査の基礎技術

免疫グロブリンの定量法

著者: 浜崎泰昶1 尾辻省悟2 山下巧3

所属機関: 1鹿児島大病院中検 2鹿児島大,中検部 3済生会川内病院検査科

ページ範囲:P.1329 - P.1336

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 血清免疫グロブリン(Ig)は,正常な免疫反応として諸種の抗原刺激に対して発現するいくつものクローンから分化した形質細胞で産生されて血中に増量するか,骨髄腫やそれらの類似疾患の時に,正常Igとは少し違ったIg,すなわちM成分として血中に出現する.一方,われわれが日常繁用するセルローズアセテート膜電気泳動像にみられるγグロブリンの増減は確かに生体内での免疫反応の亢進または低下を知らせてはくれるが,Igのクラス別の増減は十分に教えてくれない.たとえば骨髄腫の時は特定のIgだけが増えていることが多く,γグロブリンは増加している場合も正常域にある時もあり,逆に低下している場合もある.また疾患によってはIgのどのクラスが増加または減少しているかを知ることがその重症度判定や他の疾患との鑑別に有力な手がかりとなることがある.したがって各種の高および低γグロブリン血症時のIgを測定することは臨床上重要な意義を持っている.今日,IgにはIgG,IgA,IgM,IgDおよびIgEの5クラスが知られており,それらの測定には抗原抗体反応の特異性を応用した免疫学的方法が用いられている.
 本稿ではIgG,IgA,IgMあるいはIgDの定量法を,最も一般的なゲル内拡散法のうち一元平板免疫拡散法と試験管内単純拡散法について,おのおの既製キットの1つをとって具体的に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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