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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻12号

1974年11月発行

文献概要

Senior Course 生理

フィシュバーグ濃縮希釈試験

著者: 小船善弘1

所属機関: 1日大・第2内科

ページ範囲:P.1364 - P.1365

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 濃縮および希釈試験は,水制限あるいは水負荷した際に,腎がどの程度高い濃度に,または低い濃度に溶質を尿中に排泄しうるかという腎の能力を調べる検査である.この濃縮希釈試験について述べる前に,その基礎生理学的な事項について若干の知識を得ておく必要があろう.
 糸球体からボーマン氏嚢に瀘過された液は血漿の成分と等しく,浸透圧を290mOsm/lを示すのであるが,続く近位尿細管を通過する間に,その約85%が等浸透圧的に再吸収される.近位尿細管からヘンレの下行脚にはいると,しだいに高張となり,その先端では1,200mOsm/lという高い浸透圧を示す.次いでヘンレの上行脚にはいった尿細管液は,特殊な尿細管細胞の性質によってNaのみが間質へ汲み出され,しだいに低張となる.汲み出されたNaは,一部ヘンレの下行脚にはいって尿細管液の高張化に関与し,一部は間質内にはいって髄質間質の高張性の形成に関与する.hairpin型をしたヘンレ氏係蹄の各部位でこのような浸透圧濃度勾配が作られる過程を名づけて,尿濃縮の対向流増幅(coun-tercurrent multiplier)と呼んでいる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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