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特集 日常臨床検査法 Ⅱ.化学
5.単能機器分析—2)340nmの吸光光度計
著者: 降矢熒1
所属機関: 1東京女子医大・生化学
ページ範囲:P.1432 - P.1435
文献購入ページに移動 Warburgらは,1935年にピリジンヌクレオチドが部分的に還元されると,特異的な紫外部吸収帯が現れることを発見した.当時は非常に驚異的な現象として多くの人々に受け入れられたが,今日ではこの紫外部吸収帯は340nm付近に極大を示し,NAD(Nicotinamide-adenine dinucleotide)のピリジニウム型がジヒドロピリジン型へと変化したことによることが判明している.また,NADP(Nicotinamide-adenine dinucleotide phosphate)もピリジンヌクレオチドのひとつであり,還元されるとNADの還元型と同様に340nmに極大を示す紫外部吸収帯が現れるので,340nmの吸収を測定することによりNADH(還元型NAD),NADPH(還元型NADP)を定量することができる.
したがってNAD依存反応やNADP依存反応では,酵素反応の進行に伴う340nmの吸収の増減あるいは酵素反応の完了に伴う340mnの吸収の変化を測定することにより,試料中の酵素活性を求めたり,あるいは試料中に存在する酵素基質となる物質の濃度を知ることが可能である.
したがってNAD依存反応やNADP依存反応では,酵素反応の進行に伴う340nmの吸収の増減あるいは酵素反応の完了に伴う340mnの吸収の変化を測定することにより,試料中の酵素活性を求めたり,あるいは試料中に存在する酵素基質となる物質の濃度を知ることが可能である.
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