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ひろば
不明瞭な価格上昇に検査室は四苦八苦
著者: 村田徳次郎1
所属機関: 1慈生会ベトレヘムの園病院臨床検査科
ページ範囲:P.312 - P.312
文献購入ページに移動 1973年は国中が品不足と高値で終始した年であった.国会では首相や大臣が"品不足はありません"とか"在庫は十分ある"と声をからしていたが,現実は3割,6割とか値上がりし,そのうえ品不足で店頭には買いたくともない始末である.先日試薬として"塩化ナトリウム"を1びん注文したところ"ありません"という."入荷したらでよい"というと"いつという約束はできないが入荷したら持っていく"という返事である.田中総理は国会で"国の専売の塩は十分出荷しています.品不足は不思議である"と答弁した.一国の総理が不思議がっているのでは私などにとうてい見当もつかないことである.尿の紙コップが品不足だという.それ以前に注文したものが1か月ほど待たされて受け取ったところ請求書を見て思わず息をのんでしまった.注文時の値段が1ケース(2,500個)9,000円であったのが1か月ほどで18,000円と2倍の請求をされた."注文時の値段でなく納品時の値で引き取ってください,ご不満ならお納めできません"と一方的に業者はいう."また,1か月もすれば値上がりします"と付け加えられた時,ついこの間まで買ってくれ,買ってくれとうるさいほどお百度参りしてきた同一人物かと思わず見なおさずにいられなかった.ある大病院の検査科では値に糸目をつけず大量に買いだめしていると聞く.われわれのような中小の検査室には暴力とも思われる高値に手も足も出ないのである.
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