異常値の出た時・17
GOT,GPT
著者:
上野幸久1
遠藤了一2
所属機関:
1三宿病院
2三宿病院研究検査課
ページ範囲:P.518 - P.524
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GOT,GPTの活性の測定がわが国において臨床に導入されてからすでに約15年を経過しており,肝・胆道疾患をはじめとして心疾患その他日常の診療において最もひんぱんに行われる生化学的検査のひとつとなっている.特に肝・胆道疾患を取り扱ううえにGOT,GPTは不可欠の検査として認められており,その地位は血清ビリルビンとアルカリホスファターゼとともに確固たるものとなっている.肝障害時に血中に活性が増加する酵素としては乳酸脱水素酵素(LDH),イソクエン酸脱水素酵素(ICD)をはじめとして,グルタミン酸脱水素酵素(GLD),オルニチンカルバミルトランスフェラーゼ(OCT),グアナーゼなどかなりのものが診断上有用であるとして提唱されてきた、しかしながら,測定の容易さ,鋭敏度,特異性などを総合してみると,GOT,GPTにとってかわるほどのものではなく,いわば補助的役割を果たすに過ぎないといってよい(最近普及しはじめたγGTPは特にアルコール性肝障害に著しく上昇するなどユニークな面を持っており,かなり役だつ検査であるが).GOT,GPTの肝・胆道疾患における診断的価値が高く評価されている反面,それがあまり過大であり,その値にのみ依存したり,他の検査があまりに軽視されているような傾向もみられる.