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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻6号

1974年06月発行

文献概要

Senior Course 血液

M-タンパクの認められた時

著者: 中島弘二1

所属機関: 1山口大・第3内科

ページ範囲:P.696 - P.697

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M-タンパクとは
 免疫グロブリン(以下,免グ)の分子は2つのH鎖と2つのL鎖から成り,これら4つのポリペプチド鎖がS-S結合している(図).この構造が免グの基本単位となっている.ただしIgMは5個の基本単位が重合し,またIgAの分泌型は2個の基本単位が重合している.最近J鎖が発見され,IgM,IgAにおける重合体形成においての役割が注目されている.H鎖の違いによりIgG(γ鎖),IgA (α鎖),IgM (μ鎖),IgD (δ鎖)およびIgE(ε鎖)に区別される.これら5つの免グはさらに無数の不均一なタンパクの集団であって,いろいろの抗体を含んでいるわけである.一方,L鎖はK型(κ鎖)とL型(λ鎖)の2種があり,これらは抗原性の差異により区別される.正常血清ではK型とL型が混在している.
 正常人の免グは無数のクローンによって産生されるが,易動度の異なった成分の集団として電気泳動上観察される.しかしその中で単独のクローンから産生されていると考えられる単独の免グが増加している場合がある.電気泳動により幅の狭いシャープなバンドとしてみられる.Monoclonal (単一クローン:単一細胞から発生した細胞群を意味し単一,または均一性の免グを産生する)のMをとってM-タンパクあるいはM-成分と呼ぶ.免疫学的に単一のL鎖またはH鎖より成っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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