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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻7号

1974年07月発行

文献概要

総説

腸内細菌同定のありかた

著者: 坂崎利一1 田村和満1

所属機関: 1国立予研細菌第1部

ページ範囲:P.731 - P.737

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 細菌の同定はひとつひとつの菌株の同定ではなく,その集団である菌種を決めることである.同じ菌種に属しても各菌株の性状は完全には同じでない。これに加えて,腸内細菌はそれぞれ相互に移行し,その間に明確な一線を画しえない菌種の集団で,各菌種の絶対的な特徴となるような性状はなく,いろいろの性状の組み合わせによってそれぞれの菌種が定義づけられているが,それらの性状には必ず例外がある.したがって,菌種の同定とはそのような例外のある各性状の組み合わせを解読することで,その際の最も重要なカギは個個の情報の正確さにあり,もしそこに誤った情報があれば,総合判断も誤ることになる.このことからわかるように,もし同定に標準があるとすれば,それは総合判断の方法の標準ではなくて,その判断の基礎となる情報,すなわち菌の性状をテストする方法の標準でなければならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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