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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻8号

1974年08月発行

文献概要

Senior Course 血液

出血時間の延長

著者: 中島弘二1

所属機関: 1山口大第3内科

ページ範囲:P.916 - P.917

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 出血時間とは皮膚毛細血管を穿刺して,そのため起こる出血が自然に止まるまでの時間であり生体の止血現象を総合的にin vivoで行う検査である.図1にみられるように止血は血管および周囲組織と血小板によって一次止血がなされる.傷害を受け出血した毛細血管においては,まず毛細血管の収縮が起こり破綻して障害を受けた血管壁および周囲結合組織のコラーゲンなどに接した血小板が粘着し,その血小板から放出されたADPにより,他の血小板が凝集塊を作り血管破綻孔を充填し一次止血を完了する.凝集時に放出された血小板第3因子(PF−3)および血漿凝固因子による内因系および障害を受けた組織による外因系凝固が起こりフィブリンが形成され二次止血が完了し,止血はより完全なものとなる.出血時間は出血が止まるまでの時間であり,一次止血をみているため主として血管性要因および血小板要因によって起こる異常をみる検査であるが,ときに凝固障害においても異常を示す場合がある(第Ⅶ,第Ⅴ因子欠乏症).
 出血時間は操作が簡単でありin vivoにおける止血現象の検査で,得られる情報が多いため日常の出血傾向検査においてはスクリーニングテストとして欠かすことのできないものである.出血時間が延長した時,血管性病変または血小板性病変を考え,診断確定のためさらにステップを進めていかねばならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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