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総説
細胞診—その標準化へのアプローチ
著者: 田中昇1
所属機関: 1千葉県がんセンター研究所
ページ範囲:P.951 - P.957
文献購入ページに移動 剥離した,さらには人為的に剥離させた細胞を採取し,それらの細胞の中から生理的に出現する細胞を鑑別除外して悪性細胞を見出すことによって,患者の悪性腫瘍を診断しようという試みが,研究試験段階を経て,これが真に価値ある診断法であることが実証され,臨床細胞学(ClinicalCytology),診断細胞学(Diagnostic Cytology),あるいは細胞診断学(Cytological Diagnosis)として体系づけられ,あまねく全世界で広く臨床検査部門の中に持ち込まれて開花していることは衆知のとおりである.また,一般に"細胞診"なる名称で親しまれている臨床細胞学も単に細胞所見の解読と判断の分野にとどまらず,臨床家の努力に基づく採取法の開拓進歩と相まって,その領域を広げ,ほとんど全身諸臓器の細胞診断学に発展しているのが現状である.
ところで,このように手広く,しかも全世界で実施されており,その発表論文も枚挙にいとまがない程度に達すると,個々の内容の検討に際し,ひとつの"物差し"で同じように評価することができない状態に達していると判断せざるを得ない.数値で客観的に表現することを本質とする化学系,物理学系,すなわち医学においては生化学,臨床化学,生理学,さらには血液学,血清学などは,当然,方法論上の違いや異なった単位で同じものを比較しえない.
ところで,このように手広く,しかも全世界で実施されており,その発表論文も枚挙にいとまがない程度に達すると,個々の内容の検討に際し,ひとつの"物差し"で同じように評価することができない状態に達していると判断せざるを得ない.数値で客観的に表現することを本質とする化学系,物理学系,すなわち医学においては生化学,臨床化学,生理学,さらには血液学,血清学などは,当然,方法論上の違いや異なった単位で同じものを比較しえない.
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