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塗抹鏡検法をめぐって
著者: 高橋昭三1
所属機関: 1結核予防会結核研究所細菌血清学研究科
ページ範囲:P.976 - P.977
文献購入ページに移動 検体処理能の高い点,データに関しての再現性の高い点から,検査の自動化がすすみ,他の分野では,高い熟練度の要求される実験法が少なくなる傾向がみらるれが,細菌学的検査法については,自動化に近い方法すら生まれていない.依然として,実験者の熟練の程度が,検査の結果の信頼性を左右している.なかでも鏡検法ほど実験者の技術レベルに依存するものはない.操作は比較的単純であるが,重要な,幅広いデータを提供する.一方,これほど軽視されている実験法も少ない.見る眼がなければ,よいデータが得られないためであろう.若い技術者にとって,塗抹鏡検法は,めんどうで,培養法よりも精度の劣る方法というイメージが強い.小川培地による結核菌の分離培養が広く行われるようになってから,鏡検をおろそかにし,ときには培養だけをやる傾向があるとさえいわれるが,塗抹鏡検法は,培養法とは異質の検査であることを強調しておきたい.
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