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文献詳細

雑誌文献

臨床検査18巻9号

1974年09月発行

文献概要

Senior Course 細菌

産婦人科領域における細菌検査

著者: 三輪谷俊夫1 吉崎悦郎2

所属機関: 1阪大微研・細菌血清学部 2国立大阪病院研究検査科

ページ範囲:P.1038 - P.1039

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 胎児期には無菌的であった腟内も出生後12〜24時間すればブドウ球菌,腸球菌,diphtheroid, Sarcinaなどが検出されるようになる.生後2〜3日すると,母親からもらった卵胞ホルモンの作用で腟上皮に多量のグリコーゲンが出現し,腟内は酸性になり,2〜3週間は腟内乳酸杆菌(従来Döderlein腟杆菌と呼ばれていた)が主位を占める.しかし,受動的に母親から受け継いだ卵胞ホルモンはやがてなくなり,腟上皮のグリコーゲンが消失するにつれて腟内はアルカリ性となり腟内乳酸杆菌は減少してブドウ球菌,腸球菌,coliforms, diphtheroid,その他嫌気性菌が検出されるようになる.卵巣機能が発達した思春期以後は自ら産生する卵胞ホルモンの作用で腟上皮のグリコーゲン含有量が多くなり,脱離した腟上皮中のグリコーゲンは子宮内膜から分泌される酵素によってブドウ糖に分解される.腟内乳酸杆菌はこのブドウ糖を利用してよく増殖し,乳酸を産生する.この時期の腟分泌液はだいたい0.1〜0.5%の乳酸液に相当するものでpH3.8〜4.0となる.このような条件では他の一般細菌は定住できず,腟内乳酸杆菌が主位を占めるようになる.卵巣機能の不十分な幼児や思春期前の少女に腟炎が比較的多いのは,このような自浄作用を欠くためであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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