icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻1号

1975年01月発行

Senior Course 血清

—最新の免疫学的検査法—β2ミクログロブリン—1.基礎

著者: 冨永喜久男1

所属機関: 1九大医療短大部

ページ範囲:P.112 - P.113

文献概要

 スウェーデン,ウプサラ大学のBerggårdは,1960年代初めから尿タンパク,殊に正常尿タンパクについて精力的な研究を進めてきた研究者で,尿タンパクに関する近年の免疫化学的知見は彼を抜きにしては語れない.このBerggårdが,1968年ロックフェラー大学のBearnと共著で,それまで知られていなかった人体のタンパクとしてβ2-microglobulin(β2ミクロと略す)を初めて記載した.後で述べるようにこのタンパクは小分子量ではあるが,免疫学の分野で近年にわかに注目をひくようになってきた.それはこのタンパクが免疫グロブリン(Ig)ないし抗体と,組織適合性抗原(Histocompatibility Antigen)とを結びつける物質と考えられるようになったからである.最近,β2ミクロをHL-A抗原(Human leucocyte antigen,ヒトにおける組織適合性抗原の主要なもの)の一成分と同定する報告があい次いだことにより,ますますその傾向が強くなってきている.
 このβ2ミクロは初めWilson病,慢性カドミウム中毒,その他数種類の疾患患者尿,正常人の尿および血漿,神経学的に異常ない人の脳脊髄液を材料とし,ゾーン泳動法,G100,DEAE,Sulfoethyl Sephadexなどによるカラムクロマトグラフィーの組み合わせで分離,精製された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら