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文献概要
Senior Course 病理
—新しい病理組織標本の作り方—固定 I
著者: 平山章1
所属機関: 1東京女医大中検病理部
ページ範囲:P.116 - P.117
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良い組織標本を作製する上で最も基礎的で重要なことは,目的にかなった,そして十分な固定を行うことである.ではいったい良い固定をするということはどのようなことなのか,また,どのような目的を満たせばよいのか今それを具体的にあげてみると次の5項目があげられる.すなわち,①いろいろな細胞成分をできるだけ生きている時に近い状態で保存すること.②腐敗や自家融解などの死後変化を防ぐこと.③固定後の組織処理が容易に行えるよう,自然の軟らかさをもつ組織をある程度硬化させて組織を保護すること.④正常では半流動性の性質をもつ細胞を半固体の硬さに変えること.⑤生物学的色素や化学薬品を使って細胞構造が見やすいように染め分けられるようにすること,などが考えられる.したがってこのことからわかるように,この5項目のすべてに合った固定液があれば最も理想的なのであるが,実際にはこれらすべてを満足させる固定液は現在のところ見つかっていないので,染め出したい物質や保存したい成分によって固定液を選ばなければならなくなる.
良い組織標本を作製する上で最も基礎的で重要なことは,目的にかなった,そして十分な固定を行うことである.ではいったい良い固定をするということはどのようなことなのか,また,どのような目的を満たせばよいのか今それを具体的にあげてみると次の5項目があげられる.すなわち,①いろいろな細胞成分をできるだけ生きている時に近い状態で保存すること.②腐敗や自家融解などの死後変化を防ぐこと.③固定後の組織処理が容易に行えるよう,自然の軟らかさをもつ組織をある程度硬化させて組織を保護すること.④正常では半流動性の性質をもつ細胞を半固体の硬さに変えること.⑤生物学的色素や化学薬品を使って細胞構造が見やすいように染め分けられるようにすること,などが考えられる.したがってこのことからわかるように,この5項目のすべてに合った固定液があれば最も理想的なのであるが,実際にはこれらすべてを満足させる固定液は現在のところ見つかっていないので,染め出したい物質や保存したい成分によって固定液を選ばなければならなくなる.
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