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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻10号

1975年10月発行

文献概要

ひろば

診断名"再生不良性貧血"速急に骨髄穿刺を施行されたし!

著者: 近藤友一1

所属機関: 1田端中央病院検査

ページ範囲:P.1060 - P.1060

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 穏やかな日に,それは起こった.血液検査をやっている女性が私の所へ来て,いくらやりなおしても白血球が2,000しかありませんと言った一言が,私を3日間頭脳と身体を奔走させることになった.まず血液を見て貧血があることがすぐに分かった.白血球を測ったら2,100であった(自動血球計数器).次にチュルク液を吸って顕微鏡で見た.3回繰り返したら2,100, 2,300, 1,900の数値が得られた.同じことを2人にやってもらった.結果は同じで,白血球減少は間違いないと確信した.次に血液像を調べて気づいたことは,リンパ球が多かった(百分率)ということだ.非白血性白血病を疑ったが,それらしき細胞は,全く見つからなかった.いやまてよ,リンパ球が増えてるのではなく好中球が減っているのではないのか.私はこの事態を徹底的に究明しようという気になった.
 翌日,早速患者のカルテを引っぱり出した.いろいろなことが判明した.患者は2か月前に冠不全と低色素性貧血の疑いで入院していた.この間に血液検査を定期的に行い,輸血を繰り返してやっている.外来初診の時,貧血が著しく(W 5,100, Hb5.5g/dl,R 157万,Ht 16%)3日後に入院して直ちに輸血を行うも,4,5日後には再び貧血の状態へ戻る,これらのことを何度も繰り返し今日に至った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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