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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻10号

1975年10月発行

文献概要

研究

アスピリンエステラーゼについて

著者: 西川美年子1 加納順子1 高山みち子1 林英夫2

所属機関: 1京都第二赤十字病院中検化学検査室 2京都第二赤十字病院内科

ページ範囲:P.1089 - P.1092

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はじめに
 今日までに開発され,測定されてきた多種類の肝機能検査法は,大別しておよそ3種に分類されうる.①肝実質細胞の傷害,変性などを表現するもの.例えば,GOT, GPT, LDHなどのいわゆる逸脱酵素の測定.②肝間質の線維化などの変化を表現するもの.例えば,硫酸亜鉛混濁試験(ZTT),チモール混濁試験,コバルト反応などの膠質反応の測定.③肝実質細胞の本来の機能の解毒,タンパク合成などを表現するもの.例えば,BSPとICG排泄試験,アセチルコリンエステラーゼ測定など.
 肝の各種代謝活動を反映する検査法は,今日まで多数開発された肝機能検査法の中では比較的手法の乏しい領域であったと言えよう.1943年,Vandelliらは,モルモットの肝および腎組織がアスピリンを急速に分解する現象が酵素的過程によるものであることを立証し,1950年,Vincentらは,この酵素をアスピリンエステラーゼ(Asp-E)と名付けた.Asp-Eは,心,腎にも存在するが肝に圧倒的に多く,肝細胞のミトコンドリアに主として存在するといわれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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