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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻10号

1975年10月発行

文献概要

Senior Course 一般検査

心包液

著者: 高橋早苗1

所属機関: 1東京女子医大・心研内科

ページ範囲:P.1146 - P.1147

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 心包液は心外膜(Epicardium)と心包(pericardium)とで形成される腔に貯留する液体で,正常人では20〜60ml存在している.心包液に関する報告はほとんどが心包炎の液に関するもので,正常心包液の報告は少ない.心包液は血漿に由来し1.7〜3.5g/dlのタンパクを含有し,血管支配は内胸動脈の分枝である心嚢枝である.心嚢腔の圧は場所により異なり(心房の部分と心室の部分では異なる)また心臓の収縮周期によっても異なる.
 心包液が貯留する疾患として,リウマチ熱,結核,尿毒症,細菌感染,ウイルス,fungal感染,外傷,関節リウマチ,SLE,強皮症などの膠原病,心筋硬塞後症候群,心膜切開後症候群,ワクチンに対するアレルギーなどによる心包炎,また心不全,低タンパク血症でも漏出液が貯留する.解離性大動脈瘤の心嚢内破裂,心筋硬塞の心室穿孔,心臓ペースメーカーの穿孔,外傷による心破裂などでは心包に血液が貯留する.しかし種々の検査を行っても原因のつかめない非特異性心包炎が大部分を占める.そのため心包炎の原因の検索は他の臨床症状,検査成績を十分検討すべきであるが,他方コレステロール心包炎,カイロペリカルデュウムなど心包液の検査が重要な診断根拠になるものもある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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