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ウイルスのことば
SSPE
著者: 水谷裕迪1
所属機関: 1関東逓信病院
ページ範囲:P.1171 - P.1171
文献購入ページに移動 Subacute Sclerosing Panencephalitis (亜急性硬化性全脳炎)の略.麻疹ウイルスの遅発性感染型と考えられ,その発生頻度は100万人に1人といわれるほどまれなものであるが,定型例は麻疹罹患数年後に知能低下,人格変化などの症状をもって徐々に発症し,やがてミオクローヌス,アテトーゼ様運動,振顫などの症状も出現し,さらに徐々に進行して遂に脳皮質機能が全く消失し,2〜3年のうちに大部分死亡する,脳波では2〜3Hzの棘波を混じた高圧のparoxysmal burstとこれに続く平低化が両側同期性に一定間隔をおいて現れ,髄液γグロブリンは15%以上に増加し,血清および髄液中の麻疹抗体価が異常に上昇している.脳生検では,神経細胞およびグリア細胞核内にエオジン好性Cowdry A型封入体を認め,電顕で麻疹ウイルスのヌクレオキャプシド(ウイルスの遺伝情報が荷われている核タンパク)様構造を認める.
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