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特集 ウイルス疾患の検査法 ウイルス検査法概論
形態学的証明法—螢光抗体法
著者: 倉田毅1
所属機関: 1東大医科研病理部
ページ範囲:P.1172 - P.1175
文献購入ページに移動 螢光色素で標識された抗体を用いて,組織または細胞内の抗原との抗原抗体反応を,標識された色素の輝きを指標として観察するのが螢光抗体法である.歴史的には20年あまり前にCoonsがフルオレセイン系色素を用いたのが原法となり,その後数々の改良──特に色素の純度,安定性,標識法,暗視野コンデンサー,などの点で──が行われ,現在に至っている.螢光抗体法は,感度と特異性の面で非常に優れていること,また操作が簡単なため応用範囲は極めて広い.標識しうる抗体が得られるならば,細菌,ウイルス,酵素,組織成分その他などの抗原物質の同定,分布その他の解析に,また日常検査での迅速診断に極めて有力である.総称して免疫螢光法とも呼ばれるが,同じような考え方に立って,標識するものを螢光色素の代わりにフェリチン,酵素(Per-oxidaseなど)を用いる場合は,フェリチン抗体法,酵素抗体法と呼ばれ,電顕下での細胞の微細構造と抗原構造との関連の研究(免疫電顕法と総称)に応用されている.
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