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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻11号

1975年11月発行

文献概要

ウイルスのことば

急性出血性結膜炎(AHC)

著者: 甲野礼作1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.1200 - P.1200

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 本症は1969年西アフリカのガーナに初発し,3年後わが国に到達し爾来しばしば流行を繰り返している新型ウイルス性結膜炎で,その病原ウイルスは甲野らによって初めて分離きれ,その後世界各地でこの事実が確認された.甲野らはこのウイルスをAHCウイルスと名付けたが,後にenterovirus type70と正式に分類された.初発がアポロ11号の月着陸と時が同じころであったためアポロ11病と俗称される.48時間以内の短い潜伏期の後,激しい結膜炎を起こし,その名のように結膜下の出血を生ずるのが特徴である.び浸性角膜炎も併発するが,一般に予後はよく2週間以内に全治するのが普通である.まれに数日から数週後,脳神経または脊髄の支配領域に運動麻痺を起こすことがあり注意を要する.本症はガーナ初発後アフリカ・ヨーロッパに広がり,1970年以後ジャワ島から全アジアにパンデミーを起こし,患者数は少なく見積っても数百万人に達した.発病3日以内の結膜ぬぐい液をヒト由来の細胞培養に接種するとウイルス分離ができる.培養温度は33℃が至適である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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