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特集 ウイルス疾患の検査法 ウイルス検査技術
インフルエンザウイルス
著者: 武内安恵1
所属機関: 1国立予研ウイルスリケッチア部
ページ範囲:P.1209 - P.1213
文献購入ページに移動 インフルエンザウイルスの粒子内にはラセン様構造のリボ核タンパク質が含まれS抗原と呼ばれる.S抗原は型特異的で補体結合反応試験により,A型,B型,C型の3型に分類される.このうち特にA型ウイルスは10年またはそれ以上の周期で不連続変異が認められ,現在はH0N1型(1933〜1945),H1N1型(1946〜1956),H2N2型(1957〜1967),H3N2型(1968〜)の亜型に分類されている.更にA型ウイルスは亜型の中でも流行ごとに多少の連続変異が認められる.B型ウイルスも流行ごとに抗原構造に多少の差異がみられるが,比較的緩慢な連続変異のため現在のところ亜型に分けられていない.C型ウイルスはまれに局地的に小流行が認められる程度である.各型の株特異性はHI試験,中和試験などにより分けられる.動物ではブタ,ウマ,トリなどからヒトのA型ウイルスと共通抗原を持つ株が分離されている.インフルエンザに感染すると,発熱,筋肉痛,頭痛,悪寒,咳,咽頭痛,咽頭発赤,チアノーゼ,白血球減少などが認められる.わが国のインフルエンザの流行は通常冬から春にかけて認められるが,ウイルスの変異の程度,抗体保有率,その他環境要因などにより必ずしも一定しない.1957年A型アジアかぜの時は第一波は5月〜7月,第2波は9月〜2月,1968年A型香港かぜは10月〜2月,1973年B型流行は第1波4月〜7月,第2波.9月〜2月に流行がみられている.
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