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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻11号

1975年11月発行

文献概要

特集 ウイルス疾患の検査法 ウイルス検査技術

RSウイルス

著者: 須藤恒久1

所属機関: 1秋田大・微生物

ページ範囲:P.1220 - P.1224

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 秋から春にかけて,こども,特に乳幼児の急性気道感染症(ARI)の原因として,最も重要なものは,RSウイルスであるといわれている.RSとは,RespiratorySyncytialの略であって,シンシチウム形成という特異な細胞病原性効果(CPE)を示す呼吸器を犯すウイルスという意味である.
 このウイルスは,1956年米国のMorris1)らによって,チンパンジーの鼻かぜから初めて分離されたので,初めはChimpanzee Coryza Agentと呼ばれたが,翌年Chanockら2)によって,ヒトの間にも,広くARIを起こすことが知られてからRespiratory Syncytial virusと呼ばれることになったものである.赤血球凝集能のないこと,ふ化鶏卵では増殖しないことなどを除けば,インフルエンザ,パラインフルエンザなどと近縁なウイルスでありMetamyxo virusと分類されている.このウイルスが,冬のこどものARIの原因として最も重要なものであることは,世界各地からの報告3,4)で既に明らかにされたことであるが,我々も,わが国での秋から春にかけての小児のARIを検索した結果,RSウイルス感染症は毎年のように流行し,しかも,外国と同様,極めて重要なものであることを確かめて既に報告5,6)したところである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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