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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻11号

1975年11月発行

文献概要

特集 ウイルス疾患の検査法 ウイルス検査技術

痘瘡ウイルス

著者: 北村敬1

所属機関: 1国立予研腸内ウイルス部痘瘡ウイルス室

ページ範囲:P.1274 - P.1279

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 痘瘡は,痘瘡ウイルス(variola virus)がヒトに全身感染を起こして呈する重篤な感染症であるが,不思議なことに,痘瘡ウイルスの病原性はヒト以外の動物においては極めて弱く,動物モデルでヒトの痘瘡を再現して研究することができない.これに対して,痘瘡ワクチンに用いられるワクチニアウイルス(vaccinia virus)は,ヒトにおける病原性は痘瘡ウイルスよりはるかに低いのに対し,実験動物,組織培養などにおける感受性の宿主域が極めて広く,動物モデルによる実験的研究が容易に行われる.痘瘡の感染はヒト—ヒト,ヒト—ヒト由来の汚染物件—ヒトの経路で行われるので痘瘡の臨床ウイルス学的検査は患者材料に限られると考えてよい.しかし,一般検査機関で痘瘡のウイルス学的検査を行うことは極めてまれで,多くは,痘瘡の副作用のウイルス学的検索に限られると思われるので,以下の記述の中では,ワクチニアウイルスについてもできるかぎり詳しく説明することにする.
 痘瘡ウイルスには死亡率の高い大痘瘡(variola major)ウイルスと,死亡率の低い小痘瘡(variola minor,またはAlastrim)ウイルスの2種があり,前者はアジア型で,死亡率は40〜50%に及び,後者は南米,アフリカ型で,臨床症状は大痘瘡とほとんど差異がないが,死亡率のみ5%以下と低く,ウイルス学的にも,後述のように両者は区別可能である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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