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研究
血清トランスアミナーゼの微量測定について
著者: 松尾武文1 森崎栄子1
所属機関: 1兵庫県立淡路病院臨床検査部
ページ範囲:P.296 - P.297
文献購入ページに移動はじめに
トランスアミナーゼの定量には,Reitman-Frankel(1957年)の方法が広く用いられている.わが国では日本消化器病学会で標準法が定められており,測定条件について詳しく規定されている.標準法による血清試料の必要量は100μlであり,UV法に比較すれば少量である.しかしトランスアミナーゼの定量は日常検査として繁用されているため,微量定量化には大きな利点がある.一方Reitman-Frankel法を改良した超微量定量法も考案されている1).それによると,血清は20μlの微量であるが,ジニトロフェニルヒドラジンや基質の濃度が標準法と異なっているため,標準法の試薬がそのまま利用できないのが難点である.私どもは,エッペンドルフのマイクロリッターシステムを用いて標準法で定められた試薬を改良することなく,使用量を規定の1/5量で定量できることを報告した2).しかし,この方法でのピルビン酸検量線は,勾配が緩いため低単位での読み取りに難点があった.これは微量法では血清からのピルビン酸生成速度とピルビン酸検量線との間に,測定条件の差異による不一致が生じたためと考えられた,今回は標準法の試薬のままで,日常検査として標準法とかわらぬ精度で定量できるトランスアミナーゼの微量法を考案したので以下に述べる.
トランスアミナーゼの定量には,Reitman-Frankel(1957年)の方法が広く用いられている.わが国では日本消化器病学会で標準法が定められており,測定条件について詳しく規定されている.標準法による血清試料の必要量は100μlであり,UV法に比較すれば少量である.しかしトランスアミナーゼの定量は日常検査として繁用されているため,微量定量化には大きな利点がある.一方Reitman-Frankel法を改良した超微量定量法も考案されている1).それによると,血清は20μlの微量であるが,ジニトロフェニルヒドラジンや基質の濃度が標準法と異なっているため,標準法の試薬がそのまま利用できないのが難点である.私どもは,エッペンドルフのマイクロリッターシステムを用いて標準法で定められた試薬を改良することなく,使用量を規定の1/5量で定量できることを報告した2).しかし,この方法でのピルビン酸検量線は,勾配が緩いため低単位での読み取りに難点があった.これは微量法では血清からのピルビン酸生成速度とピルビン酸検量線との間に,測定条件の差異による不一致が生じたためと考えられた,今回は標準法の試薬のままで,日常検査として標準法とかわらぬ精度で定量できるトランスアミナーゼの微量法を考案したので以下に述べる.
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