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Senior Course 血清
—最新の免疫学的検査法—いわゆるM成分の抗体活性
著者: 冨永喜久男1
所属機関: 1九大医療短大部
ページ範囲:P.450 - P.451
文献購入ページに移動 多発性骨髄腫やマクログロブリン血症などの,いわゆる"単クローン性免疫グロブリン異常症"でみられるM成分は,我々の体には本来は存在しないもの,異常な成分という意味で古くはParaproteinと呼ばれてきた.しかし,この"異常成分"と正常γグロブリンとが免疫化学的に関係があること,ペプチドマップで分析すると"異常タンパク"のペプチドが正常γグロブリンのペプチドの一部として存在することなどの知見と"クローン"という概念とを結びつけて,免疫グロブリン異常症を"単クローン性","多クローン性"とに分ける今日の見方が生まれてきた.
Paraproteinと呼ばれていたころは当然のことながらこれらM成分には抗体活性が認められないとされていたが,M成分についての今日的な考え方—正常において多数存在するクローンの一つから生じたもの—からすると,M成分が何かの抗原に対する抗体活性を有していても少しも不思議ではない.事実,1957年,最初の例がFudenbergらにより報告されて以来,かなりのM成分が抗体活匪を示したと報告されている.これらのM成分は,抗体の機能や抗体のSite (抗原との結合部)の研究,あるいは良性ないし悪性単クローン性免疫グロブリン異常症の発生病理という点で興味深く重要な問題を提供している.
Paraproteinと呼ばれていたころは当然のことながらこれらM成分には抗体活性が認められないとされていたが,M成分についての今日的な考え方—正常において多数存在するクローンの一つから生じたもの—からすると,M成分が何かの抗原に対する抗体活性を有していても少しも不思議ではない.事実,1957年,最初の例がFudenbergらにより報告されて以来,かなりのM成分が抗体活匪を示したと報告されている.これらのM成分は,抗体の機能や抗体のSite (抗原との結合部)の研究,あるいは良性ないし悪性単クローン性免疫グロブリン異常症の発生病理という点で興味深く重要な問題を提供している.
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