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技術解説
見る顕微鏡
著者: 高橋昭三1
所属機関: 1結核予防会結核研究所細菌血清科
ページ範囲:P.476 - P.477
文献購入ページに移動 顕微鏡は小さな穴である接眼レンズからのぞくものである,という概念が,世界をおおっている.この方法は,比較的少ない光量を用いて明るい像を観察できる利点はあるが,種々の短所をもっている.第一に,1人で観察しなければならず,2人以上で観察することができない.色調の点から,比較的明るい視野を見るため,まわりと違う明るさに眼が順応しなければならないので,観察しながら記録する作業を続けると,眼がつかれやすい.ピントを合わせるのに熟練がかなり要求され,これを1人で体得しなければならない.この最後の条項は特に重要であり,これが形態学の観察法の難しさの一つになっている.小さい穴に眼を近づけて観察する手段の代わりに,像を平面に結ばせて観察することができれば,ここにあげた短所はほぼ解決するであろう。従来の装置では投影顕微鏡があるが,暗室を必要とすること,強い光を用いねばならないため,標本をいためるおそれがあることなどから,日常の検査には使えない.観察用顕微鏡装置で,のぞかないで,見ることのできる装置の実用化が望まれるが,通常の顕微鏡による像に近い精度が要求されるとなるとかなりの難しさがある.
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