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文献詳細

雑誌文献

臨床検査19巻5号

1975年05月発行

文献概要

異常値・異常反応の出た時・29

クレアチニン・クリアランスの異常

著者: 杉野信博1 清水美津子1 三輪東一郎1

所属機関: 1東京女子医大内科

ページ範囲:P.495 - P.498

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 腎クリアランスの概念は1917年にAddis, T.により導入され,今日,腎の生理学的,臨床的機能を評価するうえで極めて有用なものである.すなわち腎障害の程度・病期・重症度・予後の判定に重要な役割を果たしている.ある物質のクリアランス値とは,毎分その物質が除去されるに必要な血漿量で表される.腎から排泄される物質はまず糸球体で炉過される.すなわち糸球体濾過値(GFR)は,ある物質が腎で処理される機構を知るために役立ち,かつ病的状態での腎機能障害の程度の評価のうえにも価値がある。GFRを正確に知るには,糸球体を自由に通過し,尿細管から排泄も再吸収もされない物質を用いることが必要であり(表1),イヌリンがこの目的に最も良く適しているが,測定上,操作上の複雑さより,今日では内因性クレアチニン・クリアランスが臨床的に広く用いられている.しかし,イヌリンのような理想的な物質とは異なり問題となる点もあるので,まずクレアチニン・クリアランスに影響する因子について考える.次いでクレアチン・クリアランスの異常な結果を見た場合の病態を説明するが,臨床的には上昇することはなく,あってもごく軽度であるので,実際には低値が問題となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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