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文献詳細

雑誌文献

臨床検査2巻11号

1958年11月発行

文献概要

技術解説

血液燐酸定量法

著者: 春日誠次1

所属機関: 1関東逓信病院臨床検査科

ページ範囲:P.655 - P.657

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 血液中に燐酸は,無機燐酸,エステル燐酸,脂質燐酸,核酸燐酸として分布している。その量的関係は次のようである。

         全 血  血 漿

 無機燐酸    2〜4   2.4〜4.5

 エステル燐酸  20〜30  0.1〜1.7

 脂質燐酸    11〜14   7〜15

 核酸燐酸    2〜3    —

 総燐酸     35〜51  10〜12

  (数字はPmg/dlを示す)

 以上の数値からもわかるように,エステル燐酸は血漿中に少く,血球中に多い。又無機燐酸は,血球中には殆どない。之は血球内では,代謝過程殊に糖質代謝が進行する為に,それに関連した燐酸エステルが多いのである。この代謝に伴つて無機燐酸は血球内に取入れられてエステル化され,又血球内からは分解されて生じた無機燐酸が,血球に出されている。もしも血液が血管から外に出され,殊に室温に放置されると,血管内での血球燐酸代謝とは異つて来て,分解過程がより強く進む。即ち無機燐酸が次第に増加してくる。従つて燐酸定最を目的に採血したならば,血漿にしろ,血清にしろなるべく速かに血球部分とは分離してしまうべきである。血漿,血清は分離してからトルオール1滴を加えて氷室におけば,数時間は保存出来る。凝固阻止剤を用いるならばヘパリンがよい。蔭酸塩は燐酸定量の際の発色を阻害する。溶血した血清は用いてはならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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