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単球とマクロファージの形態と機能
著者: 太田宏1
所属機関: 1名大第1内科
ページ範囲:P.7 - P.13
文献購入ページに移動 血液単球の起源と運命については古くより多くの議論があったが,生理的状態では組織の網内系細胞が血中へ流出してくることはまれであるとされている.近年,放射性同位元素による細胞の標識,細胞培養,動物のレ線照射その他の方法を用いて,胸腔,腹腔のマクロファージや炎症巣にみられる単核細胞は骨髄由来であり,血液単球を経て局所へ到達するという知見が数多く報告され,Langevootら1)は表1に示すような細胞群をまとめてMononuclear Phagocyte System (単核食細胞系)なる概念を提唱した.この系に属する細胞の条件として,形態学的には細胞形質膜のruffle形成(ひだ様構造)を,機能的にはガラス表面への強い付着能と旺盛な貪食能をあげている.しかし,この表にあげられた細胞をすべて骨髄一元論の立場で説明することに疑問をはさむ研究者もある.本稿ではこの点の議論に立ち入ることは避け,単球の形態学的特徴について述べ,機能検査法としては貪食能を取り上げ,また単球白血病でリゾチーム活性が著増することに関連してリゾチーム測定法を簡単に記述し,更に単球とマクロファージの関係を調べる一つのモデルとして,皮膚窓(skin window)の実験法と出現する細胞の細胞化学的所見について説明する.
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