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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻10号

1976年10月発行

文献概要

Senior Course 血液

線溶現象について

著者: 黒川一郎1

所属機関: 1札幌医大中検部

ページ範囲:P.1096 - P.1097

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 体外に取り出した血液が,いったん凝固しても,やがて再び流動性を取り戻すことから線溶現象が注目されてきた.この現象をおし進める血中物質をプラスミンと呼んでいる.そして,これは生体内での一つの生理的現象と考えられる.個々の凝固因子は,それぞれ生物学的半減期があり,一定のサイクルで生成消滅する.プラスミンは,このような凝固因子の代謝に一定の役割を果たしていると思われる.同じ役割の一部は細網内皮系と考えられている.線溶現象は傷口の治癒過程で,皮膚の白いはん痕が健常な皮膚に置き換えられることが例としてあげられる.しかし,プラスミンは血中のみならず,筋肉,実質臓器,内皮細胞など広く種々の組織の中でも活動し,凝固系と同じくその活動も神経,内分泌系,炎症,アレルギー反応,創傷治癒過程,悪性腫瘍,出産,手術など広い範囲で研究対象とされ,各科共通の問題となっている.
 生理的現象である線溶が手術・急性感染症などで爆発的に亢進して発現すると,既存の凝固因子が破壊され,病的なoozing (じわじわとなかなか止まらない出血)を起こす.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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