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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻11号

1976年11月発行

文献概要

特集 臨床検査室マニュアル Ⅴ.検査データからみた疾患の特徴

骨髄腫とマクログロブリネミア

著者: 河野均也1

所属機関: 1日大・臨床病理

ページ範囲:P.1270 - P.1271

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1.概念
 骨髄腫(MM)もマクログロブリネミア(WM)も,免疫グロブリン(Ig)産生細胞であるリンパ形質細胞系細胞が腫瘍性に増殖する病態である.したがって,本症では腫瘍性に増殖したIg産生系細胞より多量のIgが産生される結果,通常,電気泳動上α2位からγ位にかけて幅狭い異常タンパク帯として観察されるM-タンパクが検出される.現在,Igにはheavy chainの相違からIgG,IgA,IgM,IgDおよびIgEの5つのクラスがあることが知られているが,IgM型のM-タンパクの出現を認めるWMはWaldenströmの報告以来,比較的良好な経過をたどり,骨の打ち抜き像を認めず,肝脾腫やリンパ節腫脹を伴い,増殖した細胞も形質細胞ではなく,リンパ形質細胞様細胞であるとされていることなどが他のIgクラスのM-タンパクの出現を認めるMMと異なるところから,WMはMMと区別して取り扱われてきた.ところが最近では,WMでも骨破壊性病変と形質細胞を主とする増殖を認める症例が相次いで報告され,必ずしもWMをMMと区別して考える必要はないという意見もある.
 M-タンパクはMMやWM以外にも慢性炎症や悪性腫瘍,あるいは老齢者などでしばしば検出され,Ig産生系細胞の腫瘍性増殖によるMMやWMと区別して良性,あるいは本態性M-タンパク血症(BMG or EMG)と呼ばれている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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