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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻11号

1976年11月発行

文献概要

特集 臨床検査室マニュアル Ⅴ.検査データからみた疾患の特徴

腎盂腎炎

著者: 松本文夫1

所属機関: 1東京慈恵医大・内科

ページ範囲:P.1290 - P.1291

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1.概念
 腎盂腎炎は日常最も多く遭遇する感染症の一つである.本症は腎実質および腎盂・腎杯系の一般細菌感染症と定義され,急性腎盂腎炎と慢性腎盂腎炎とに分類される.前者の多くは発熱,腰痛,側腹痛など典形的な上部尿路感染症状を呈するが,後者は微熱,易疲労性,全身倦怠,食思不振,腰痛など不定の症状を呈するもののほうが多い.
 本症の主な感染経路は上行感染であるが,膀胱内細菌(細菌尿・膀胱炎)とendotoxinのvesicoureteralvalveに対する機能障害,endotoxinの尿管蠕動抑制,更に腎髄質における低血流量,白血球の遊走・負食能の減退,血清補体(第4因子)の抑制などによって腎感染が成立する.しかし,本症の発症誘因として特に重要なものは尿流障害であり,腎・尿路系の奇形,結石,腫瘍,前立腺肥大,性器腫瘍,妊娠,神経因性膀胱,膀胱尿管逆流現象など多くのものがある.その他,糖尿病,痛風,低カリウム血症なども腎盂腎炎の発症因子として知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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