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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻5号

1976年05月発行

文献概要

Senior Course 血液

リンパ球について

著者: 黒川一郎1

所属機関: 1札幌医大,中検部

ページ範囲:P.558 - P.559

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 末梢血で我々が見るリンパ球は直径によって6〜8μmの小リンパ球と10μm以上の大リンパ球に分けられる,また普通の細胞は未熱なものほど大型で細胞質の塩基性も強く核網も繊細であるが,必ずしもリンパ球ではそうでなく,成熟したものも細胞質の塩基性は他に比べて強い.しかし大型のリンパ球の内核網も繊細で胞体が強く塩基性を示すものをリンパ芽球と呼んでいる.リンパ芽球以上の幼若なリンパ球はリンパ胚球→リンパ性細網細胞と区別されている.
 我々は日常伝染性単核症などで大型のリンパ芽球,胚球に相当するような異型リンパ球に遭遇するが(Down-ey型異型リンパ球,virocyteなど),これらは正常リンパ球がPHA刺激などで幼若化したときに見られるものに類似していると思われ,リンパ球の形態の区別も積極的な生体反応の一種として評価するべきかもしれない.またリンパ球はリンパ組織中には100g,骨髄中に70gその他の組織に散在しているものを合わせると1,300gになるが,流血中には3gしか存在しないとされている.それゆえ顆粒球同様その起源,分類,機能の基礎的成果を学ぶことは日常検査を行ううえに大切であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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