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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻6号

1976年06月発行

文献概要

技術解説

免疫粘着血球凝集反応

著者: 関根暉彬1 西岡久寿弥2

所属機関: 1国立がんセンター研究所ウイルス部 2東京都臨床医学総合研究所

ページ範囲:P.577 - P.586

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 抗原抗体結合物に補体が反応(classical path-way)するか,またはalternate pathwayによりC3bサイトが形成されると,ヒト赤血球上にあるC3bレセプター(IAレセプター)と結合するようになる.この現象は生体内で大きな役割を担っているらしいことが分かりつつある.invitroでは凝集反応として観察されるこの現象を,抗原,抗体,または補体成分の検出のために用いたのが免疫粘着血球凝集反応(lmmune ad-herence hemagglutination;IAHA)である.IAHAがいろいろな抗原,抗体系の検出に用いられるのは次のような理由からである.①感度が良い—HBs抗原の場合では最小検出濃度は約10ng/ml (1μg/mlのHBs抗原のタイターが128倍であった)であり,これはRIAの感度に等しい.しかし,IAHAでは分子量の大きい抗原ほど感度が良く,粒子状抗原でもよい.分子量の小さい抗原では他の方法と大差がない.ウシ血清アルブミンを抗原に用いた場合では,補体結合反応のわずか数倍の感度でしかない.このような傾向は抗体検出の場合でも言える.②抗原または抗体が精製されてなくてもよく,しかも少量でよい.反応系を阻害しないかぎり物質的に純度は要求されない.抗体の特異性については反応系に関係ない抗体はあっても問題にならない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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