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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻6号

1976年06月発行

文献概要

異常値・異常反応の出た時・42

ASO(抗ストレプトリジンO)

著者: 河合忠1

所属機関: 1自治医大・臨床病理

ページ範囲:P.615 - P.618

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レンサ球菌感染における抗体産生
 レンサ球菌の抗原物質は菌体外物質と菌体表在性物質とに二大別される.このうち,菌体外物質にはストレプトリジンO(SLO),ストレプトリジンS,ヒアルロニダーゼ,ストレプトキナーゼ,ディホスフォピリジンヌクレオチダーゼ,デスオキシリボヌクレアーゼ,アミラーゼ,エステラーゼ,発赤毒素,プロティナーゼなどがある.これらの多くは感染経過中に抗体産生を促すものである.菌体外毒素に対する抗体は感染早期から産生され,ある程度高値を持続した後下降して正常に復する.それに反して,菌体成分に対する抗体は感染後徐々に抗体価が上がり,比較的長年月にわたって抗体が持続する.したがって,極く最近にレンサ球菌感染症があったか否かを診断するには主として菌体外毒素に対する抗体,とりわけASOの上昇を参考にするわけである.
 例えば,ASOについては,レンサ球菌の感染が始ってから7〜10日ころに上昇しはじめ,2〜5週後には最高値に達し,数週間で徐々に低下してくる1).しかし,個々の例によってかなり差が認められ,特に咽頭より長期間にわたって菌が検出される場合には,ASOが長期間高値を持続することが多い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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