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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻7号

1976年07月発行

文献概要

技術解説

酵素を用いる血清コレステロール測定法

著者: 野本昭三1

所属機関: 1信州大,医療技術短大

ページ範囲:P.688 - P.694

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酵素の出現
 現在,日常検査の項目の中にコレステロールを加えていない検査室はおそらくあるまい.脂質に関する最もポピュラーな検査項目の一つである.しかしながら,精確度,精密度を損なわずに煩雑な測定法を簡易化し迅速化して日常検査の項目にふさわしいものにするために,実に長い困難な歴史をたどってきているのもまたコレステロールである。精確度を保持するために抽出,水解,沈殿,純化,発色といった一連の手順が必須とされていたSchoenheimer-Sperry1),Sperry We-bb2)らの法から出発して,ついには一切の前処理を省略して直接に血L清を試薬に投じて発色させ比色する直接法3〜5)にまで発展して一般に普及しているのであるが,その過程をたどってみると実に多数の研究者の報告があり,一方に試薬メーカーの技術的進歩による試薬純度の向上が支えとなってきていることが伺われる.このように長い歴史をもったコレステロールの日常検査用測定法であるが,現時点でもなお反応液が強酸性で粘稠性があることから比色操作の段階で問題を起こしやすく,特に自動化機器に応用する場合などに困難を感じさせることが多い.また簡易化に伴ってビリルビンなど生体中の共存物質からの干渉を受けやすくなっていることの他に,再現性の点でも苦労の多い項日の一つになっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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