文献詳細
文献概要
異常値・異常反応の出た時・44
LATS
著者: 紫芝良昌1
所属機関: 1虎の門病院内分泌学科
ページ範囲:P.812 - P.815
文献購入ページに移動 "異常な反応"をよく調べて,新しい現象や物質の発見につながった,という例は数多い.LATSは,TSHの生物学的測定の"異常反応"から発見されたし,LATS-protectorも,LATSを甲状腺抽出物で中和する実験の"異常反応"から発見されたものである.ここに,これらのLATSやLATS-protectorについてまとめてみる.
多くの施設で甲状腺疾患の約80%は,バセドゥ病と慢性甲状腺炎で占められている.この両疾患は,自己免疫性疾患であって,甲状腺組織に対する種々の抗体が血中に産生されており,抗体を検出することは,甲状腺はこの両者の疾患のいずれかがあることを示す"marker"になるので,抗サイログロブリン抗体の検出などは日常の臨床検査に広く応用されている.バセドウ病や慢性甲状腺炎が臨床的に大きな問題となるのは,前者では甲状腺機能亢進症,後者では甲状腺機能低下症が生じて,甲状腺ホルモン過剰あるいは欠乏が全身の代謝に影響を及ぼすからである.これらの疾患における甲状腺機能の異常が流血中の抗体の作用,あるいは何らかの免疫学的機序によって生ずるということも十分ありえてよさそうなことである.このような可能性は,バセドウ病におけるLATSの発見によって裏づけられ,現在も,甲状腺機能亢進症や低下症の原因を究めるのに抗体の機能が注目され,活発に研究されている.
多くの施設で甲状腺疾患の約80%は,バセドゥ病と慢性甲状腺炎で占められている.この両疾患は,自己免疫性疾患であって,甲状腺組織に対する種々の抗体が血中に産生されており,抗体を検出することは,甲状腺はこの両者の疾患のいずれかがあることを示す"marker"になるので,抗サイログロブリン抗体の検出などは日常の臨床検査に広く応用されている.バセドウ病や慢性甲状腺炎が臨床的に大きな問題となるのは,前者では甲状腺機能亢進症,後者では甲状腺機能低下症が生じて,甲状腺ホルモン過剰あるいは欠乏が全身の代謝に影響を及ぼすからである.これらの疾患における甲状腺機能の異常が流血中の抗体の作用,あるいは何らかの免疫学的機序によって生ずるということも十分ありえてよさそうなことである.このような可能性は,バセドウ病におけるLATSの発見によって裏づけられ,現在も,甲状腺機能亢進症や低下症の原因を究めるのに抗体の機能が注目され,活発に研究されている.
掲載誌情報