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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻9号

1976年09月発行

文献概要

カラーグラフ

—細菌の塗抹・培養 Ⅲ—腸管感染原因菌 2

著者: 小寺健一1

所属機関: 1阪大微生物病研究会臨床検査部

ページ範囲:P.880 - P.881

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腸管系感染症のうち,Shigella属菌による疾患は近年減少しているが,一方Salmonella typhi,Salmonella Paratyphi AおよびB,Salmonella sendaiを除くSalmonella属菌による食中毒型腸管感染が増加しつつある(保菌率は約0.6%).患者からShigella属菌を分離同定するに当たって注意しなければならないことは,Shigella属菌は大腸菌その他と共通抗原をもっている.特に病原大腸菌などは,生物学的性状のうち,TSI培地18〜24時間培養では,乳糖非分解性でガスを産生せず,赤痢菌の因子血清に凝集するので,誤って赤痢菌と判定されやすい.また,分離に当たってはいうまでもなく,SSカンテン培地は選択性が強くて分離率が悪いので,DHL培地などの選択性の弱い培地の併用が望ましい.
S. typhiについて,院内感染を予防する目的で入院予定者の保菌者検索を約1年間行ったところ,数例の保菌者を検出したことがある.特に胆石症の患者などは,ぜひ入院前に検査した後入院させることが必要である.また,新生児のサルモネラ感染の防止対策として,妊産婦の入院前検便は必須である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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