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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻9号

1976年09月発行

文献概要

Senior Course 血液

血液凝固 Ⅱ—血小板

著者: 黒川一郎1

所属機関: 1札幌医大中検部

ページ範囲:P.974 - P.975

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 血小板は直径2〜3μmの無核の細胞で,骨髄内で巨核球から分化,産生される.成熟巨核球は分葉して深い凹みをもつ核と豊富な細胞質とをもつ直径50μm以上の大型細胞であるが,細胞質は内層・中層・外層と三つに区別でき,そのうち中層が最も広い.中層内には0.2〜0.3μmのいわゆる血小板顆粒,粗面小胞体,糸粒体,リボゾームおよび小胞などの小器官が存在する.小胞は血小板産生の基礎になるもので,これは互いに融合し変形して,あたかも小胞の膜構造が伸びて周囲の細胞質を区切ったようにみえ,多数の分離した単位となっており,これが血小板になると考えられている.そのための小胞の膜構造を血小板分離膜と呼ぶ人もいるが,これは血小板の形質膜になると思われる.
 以上のように,血小板の産生能は通常,巨核球の細胞質面積に比例する.成熟血小板が完成するまでの期間は前駆細胞である幹細胞の発生から約10日間である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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