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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻9号

1976年09月発行

文献概要

Senior Course 血清

—血清検査の基礎—ウイルスの補体結合反応など

著者: 浅川英男1

所属機関: 1東京医歯大・中検

ページ範囲:P.976 - P.977

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ウイルスの補体結合反応
 ウイルス性疾患診断に欠かせないのは患者血中の抗体の検索である.その抗体の証明には,中和抗体,赤血球凝集抑制試験,補体結合反応などを用いるのが通常である.しかしそれぞれの抗体には特徴があるので,それをふまえて検討することが大切である.図に感染からの抗体の消長を示した.この図が示すように抗体価のピークは3〜9週目にあって,中和抗体は12週まで下がり,以後3年までプラトーを示す.赤血球凝集抑制抗体は12週までは急激に,以後緩やかに下がる.それらに比較して,補体結合反応は9週でピーク,10か月で完全に消失している.以上のことから感染の有無を臨床的見地からみるときは,補体結合反応により抗体の消長をみるのが都合が良いように思う.それは,ウイルスの感染には不顕性感染があって,経過を追ってその消長をみて,明らかな低下を認めれば新しい感染と判断しやすい利点があるからである.
 ウイルスの補体結合反応では梅毒の場合と異なり抗体減量法Kolmer法を用いる.それは,先に述べたようにウイルス性疾患では不顕性感染があって,抗体価の変動を追求するのにはそのほうが都合が良いと思われるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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