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文献詳細

雑誌文献

臨床検査20巻9号

1976年09月発行

文献概要

Senior Course 細菌

腸内細菌の分類 Ⅵ

著者: 坂崎利一1 田村和満1

所属機関: 1国立予研細菌第1部

ページ範囲:P.978 - P.979

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Klebsiella属の分類
 Klebsiellaは,俗にいうFriedländerの肺炎桿菌を代表とする一群の菌集団で,1885年にTrevisanがドイツの細菌学者Klebsにちなんで命名した.Klebsiellaの分類には約80年にわたる混乱の歴史がある.その俗名が示すように,本菌の発見,命名の当時,本菌は呼吸器感染症の原因菌と考えられ,Klebsiellaの名はもっぱら呼吸器由来菌株のみに用いられていたが,命名上の混乱は1900年にBeijerinckの記載したAerobacterにはじまる.BeijerinckはEscherich(1885)によって報告されたBacillus lactisaerogenesを中心とする一群の菌をgenus Aerobacterとしてまとめ,その代表菌種をAerobacter aerogenesとしたが,Beijerinckの記載したA. aerogenesは"周毛性の運動性菌で,非運動性菌もあり,30℃でもっともよく発育するが,37℃ではわずかしか,またはまったく発育しない"菌であった.A. aerogenesとKlebsiellaとの混乱は,その後の研究者が37℃またはそれ以上の温度でも発育する菌をA. aerogenesと誤解したことに原因する.Beijerinckの"非運動性のA. aerogenes"の性状をもつ菌で,37℃で発育するものはKlebsiellaそのものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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