新しい神経・筋機能検査・4
脊髄誘発電位
著者:
丸山洋一1
清水裕幸1
下地恒毅1
所属機関:
1新潟大学麻酔学
ページ範囲:P.1105 - P.1109
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ヒトの中枢神経系の下半部を構成する脊髄の電気的活動を皮膚面より記録することは,その電位が小さく,しかも比較的深部における現象であるため技術的に困難であった.ヒトの脊髄誘発電位(evoked electrospinogram;EESG)は,1951年,Magladeryら1)が初めてクモ膜下腔より導出しているが,クモ膜穿刺という危険を伴うため一般的には普及しえず,したがってその波形分析もなされていなかった.しかし現在では,新しい導出法の開発により2),安全かつ容易にほぼ恒常的な波形を得ることができるようになり,また動物実験から知りえた基礎的事実との比較により3),その解釈もしだいに明確なものとなりつつある.
EESGの導出は,クモ膜下腔1),硬膜外腔2),体表面4〜6),椎骨動脈内7)などからなされているが,ここでは安全性及び技術的な平易さの面より今後臨床的に応用される可能性の強いと思われる硬膜外腔導出法と体表面導出法について,その方法や得られる波形の概要,更にそれらがいかに臨床応用されているかについて述べる.