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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻11号

1977年11月発行

文献概要

特集 小児の臨床検査 Ⅰ.サンプリングの技術

F.唾液

著者: 奥田清1

所属機関: 1大阪市立大学,中央臨床検査部

ページ範囲:P.1179 - P.1184

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唾液検査の目的
 臨床化学の領域における一般的な分析試料としては,血液(血清,血漿),尿が好んで用いられ,また目的に応じて胃液,膵液,腸液,胆汁,脳脊髄液などを用いているのが現状であろう.ここでは,分析試料としては特殊と考えられる唾液を取り上げたが,その理由としては少なくとも次の二つの点を考慮しなければならない.第一は従来から行われていた唾液腺に関する生理学的な検索あるいは病的状態の診断を目的としたものであり,第二は今後新しく開発されるであろうと考えられる領域で,唾液を血液や尿と同様に全身的な代謝動態を把握するための材料とすることである.第二の点に関しては,被検者に最も負担を与えず,しかも随時に得られる試料である点が長所である.しかも乳幼児の流涎現象から考えても,また,後述するデータからも明らかなごとく,小児においては唾液の分泌速度が速く,したがって採取が量的にも,方法論的にも有利であることも見逃すことができない.しかしながら,すべての生体成分について全身の代謝動態を反映しない点にその限界がある.現在,尿素1,8)や各種薬剤(文献2),他)について検討が進められているが,今後研究の発展に伴い,そのほかの各種成分についてもその適用の可能性が考えられ,被検者に負担を与えずしかも手軽に得られる材料として,その有用性が期待されている.
 さて,唾液の採取,取り扱いを述べるに当たっては,まず唾液腺について若干記載しておく必要があろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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