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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻12号

1977年11月発行

文献概要

新しい神経・筋機能検査・5

終夜睡眠脳波

著者: 若松晴彦1 菱川泰夫1

所属機関: 1大阪大学精神医学

ページ範囲:P.1480 - P.1486

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I.終夜睡眠脳波の意義
 人間は生涯のほぼ3分の1を眠った状態で過ごしていると考えられる.また,睡眠や夢は,人間の個人的な生活ばかりではなく,その社会生活に対しても重大な影響を及ぼすものである.このために,古くより,睡眠や夢は,多くの科学者,哲学者,文学者の心を捕らえてきた現象である.また,睡眠は心身の発達とそれらの健康の維持のためには不可欠なものと考えられている.更に,様々な睡眠障害は健康人の睡眠とどのように違っているかを明らかにすることは,臨床医学の重要な課題であると同時に,日常の医療にとっても欠かせないことである.
 ところで,睡眠時には,生体の生理機能に,覚醒時とは異なった変化がもたらされることは,古くよりよく知られている.1929年にHans Berger1)は,脳の自発的な電気活動を頭皮上から記録し,この電気活動が睡眠に伴って変化することを初めて記載した.終夜睡眠脳波記録を初めて系統的に行ったのはLoomisら2)であり,1937年の論文に詳しい.彼らは,覚醒状態から深い睡眠状態に達するまでの覚醒と睡眠状態の変化に伴う脳波の変化を詳しく観察し,脳波によって,睡眠深度を客観的に捕らえうることを明らかにした.睡眠の経過につれて脳波が漸次変化していくことは,その後,Gibbs夫妻3)によって確認された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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