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免疫複合体検出法
著者: 横張龍一1
所属機関: 1国立病院医療センター臨床研究部免疫室
ページ範囲:P.136 - P.142
文献購入ページに移動 免疫現象はもともと生体防御機構の一つであって,抗体はnot selfである抗原と結合して,それを排除するように働いている.抗原と抗体の結合物──免疫複合体(immune complex)は,したがって生理的なものとして存在しうるが,多くの場合網内系によって速やかに処理されているであろう.しかし,immune complexの量が一定の範囲を越えて増加したり,質的に異常なものが生じたりすれば,病的状態を引き起こす因子となるであろうことは十分に考えられる.実際,いくつかの疾患において,immune complexの病態形成にかかわる役割が注目されており,immune complex diseaseという概念も生まれている.immune complexの量的あるいは質的な把握は,それゆえ,これら疾患の研究に重要な課題となっているが,現在までのところ,多くの診療機関がそろって取り上げるほどに確立した方法は開発されていない.以下,疾患とimmune complexの関連,現在行われているimmune complex測定法とその問題点について述べることとする.
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