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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻2号

1977年02月発行

文献概要

Ex Laboratorio Clinico・2

薬剤耐性伝達因子(R因子)の発見

著者: 秋葉朝一郎1

所属機関: 1東京大学・細菌学

ページ範囲:P.172 - P.178

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 上述したところを要約すると次のようになる.多剤耐性赤痢菌の発生の機序は,疫学的,臨床的ならびに実験的諸事実に照らして,薬剤の直接的作用によるという従来の学説では説明しえない.抗生剤の普及に伴って健康人の腸管内に多剤耐性大腸菌が出現し保有されていることから,かかる保有者が赤痢菌の感染を受けた場合には,耐性大腸菌から耐性が赤痢菌に伝達されるのではなかろうかという仮説を立てて検討し,in vitroおよびin vivoにおいて大腸菌,赤痢菌間において耐性の伝達が起きることを確かめた.この耐性伝達の機序は,接合によるものであるが,伝達される耐性因子(transferable resistance factorと呼んだ)は,染色体性のものではなく細胞質性遺伝子(cytoplasmic genetic element, plasmid)であって,原則的には薬剤耐性以外の形質の移入を伴わない.これらの諸事実の立証が,余ら研究グループの伝達性耐性因子(R因子)発見に至るまでの考え方と実験との経緯である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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