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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻4号

1977年04月発行

文献概要

Ex Laboratorio Clinico・4

第ⅩⅢ因子欠乏症

著者: 福武勝博1 浮田実1

所属機関: 1東京医科大学・臨床病理

ページ範囲:P.403 - P.408

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なぜ発見が遅れたか
 第ⅩⅢ因子は1944年Robbins1)によってその存在が報告され,次いで1948年にLaki and Lorand2)は,純化系にて形成されたフィブリンは5M尿素あるいは1%モノクロール酢酸溶液中にて溶解するが,血漿が凝固して生じたフィブリンは溶解しないことを発見した.後に両者の差異は正常血漿中のフィブリン安定化因子によることが明らかにされた3).しかし第ⅩⅢ因子欠乏症は本凝固因子の存在が確認されてからだいぶ遅れて発見されている.すなわち先天性第ⅩⅢ因子欠乏症は1960年Duckert4)によって初めて記載され,本邦においては福武ら(1966)15)によって第一例が報告された.このように凝固因子の存在が明らかにされてから,その欠乏症が発見される例は珍しい.これは第ⅩⅢ因子が欠乏していても肉眼的にフィブリンは一見正常のごとくに形成される,しかも従来用いられている凝血学的検査は一般にフィブリンの質的変化を度外視してその形成時間のみを指標としていること,などが第ⅩⅢ因子欠乏症の発見を遅らせた原因の一つと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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