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文献詳細

雑誌文献

臨床検査21巻4号

1977年04月発行

文献概要

新しい赤血球の検査・4

エリスロポエチン

著者: 千葉省三1

所属機関: 1東京大学第3内科

ページ範囲:P.423 - P.428

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 正常人の赤血球は平均120日という限られた寿命しか有していない.したがって,現在流血中に存在する赤血球の1/120が,日々破壊され死滅するものと計算される.それにもかかわらず末梢赤血球数が500万/mm3前後の一定の値を保つのは,死滅する赤血球量に相当するだけの赤血球が新しく造血組織で生成されるという,巧みな動的平衡が働いているためである.このような赤血球の恒常性を維持する生成と崩壊とのホメオスターシス機構に関与する物質として,血漿中に存在し,赤血球の生成を調節するホルモン──erythropoietin(以下Epo)──の存在することが確認されている.Epoは,既に1900年代の初めからその存在が推定されていたが,1950年代になって,実験的,臨床的に証明され,改めて諸家の注目を浴びるようになり,現在では,Epoが赤血球生成に演ずる役割り,その化学的性状,産生臓器と産生機序,及びその臨床意義などがしだいに明らかにされつつある1).特に,Epoと赤血球生成との関連については,多くの基礎的研究から,Epoが造血の幹細胞(stem cellあるいはerythro-poietin responsive cell;ERC)と呼ばれる細胞に働き,これを赤芽球の方向に分化させることによって赤血球生成を促進するとの考えが一般に受け入れられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1367

印刷版ISSN:0485-1420

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